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Photo Report : Vincent Radio goes to 陸前高田

Photo : Vince Tour Krew, Youngcalvi
Text : Poem

酷暑という言葉がまさにピッタリの初夏7/16~17。ヴィンス・クルー総勢7名は岩手県陸前高田市に向かいました。東日本大震災の被災地へ、リスナーのみなさんから贈られてきた娯楽グッズを届けに。そして当日初日を迎える映画『EXIT THROUGH THE GIFT SHOP』の上映に。そしてそしてラジオのレギュラー出演者でもあり、今回の震災でお父上を亡くされ帰省しているヤングカルビ君、通称ヤンカルに会うためです。のっけからETCカードを忘れ取りに戻る等予想通りのズッコケツアーになりましたが、直に触れる被災地の状況、その中で暮らす人々との交流は、テレビやネットといったメディアを通してみていたのとは微妙に異なる何かをわたしたちの中に刻み込みました。以下はそのレポートです。

大方がれきの撤去も終わった陸前高田の街は、荒廃した砂漠の中の町のようだった

長い道のりの後、到着した陸前高田はカンカン照りでした。「岩手の湘南」と呼ばれ、温暖な気候に恵まれた観光地、雪もめったに降らず、夏には海水浴客で賑わったというその地は、つい4ヶ月前の姿を想像することもできないほど一面の平野となっていました。所々に積み上げられた瓦礫の山。破壊された建物。ぽっきりと折れた電柱。ひしゃげた車の群れ。遮るもののなくなったその上に真夏の光が降り注ぎます。むき出しになった地面に泥だらけのアナログ・レコードが。サラ・ボーン。そして山口百恵。池のように見えた場所は陥没した住宅地。真ん中に自動車が突き刺さっています。道路の端の見付け易い場所に集められた遺留品。ぬいぐるみや飲み物、バッグやゲームのコントローラーが積み上げられた一角に近寄ってみると写真が添えられていました。おそらく亡くなった女子学生のお墓なのでしょう。聞くところによると、海岸線は1キロほど近づいたそう。軒並みなぎ倒された松林の中、唯一残った一本の松の木が復興へのシンボルとして街を見下ろしていました。


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 津波で押し流されスクラップになった車の集積所



スーパーでの買出しを経て、ひさしぶり会ったヤンカルは拍子抜けするほど元気。というか、あいかわらず。日焼けして若干逞しくなってたかな? 出迎えてくれたお母さんと、仏前のお父上にご挨拶し、パーティー準備へ。リスナーのみなさんから、お預かりした娯楽グッズを次々並べていきます。Tシャツ、CD、DVD。漫画に本に雑誌。化粧品にバッグ。ゲーム機、マッサージ器、おもちゃ。そしてスケートボード。なかなか壮観です。DJブースをセッティングしての音出し。その間にヤンカルが東京で使っていたシーツを使って、即席のスクリーンを作製。この時点でも果たして人が来てくれるのか、皆が不安を胸に抱えつつの作業でした。 バーベキューの準備をしていると、ご近所のおじさんがあらわれ、手慣れた手つきで火を起こしてくれたり。定例の町内放送に生出演したヤンカルがたどたどしく告知をした辺りから、徐々に人も集まり、パーティーのスタートです。


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町内放送にヤンカル生出演。ここには収録されていないが、
放送イントロにはおじさんのカラオケタイムがあった。



結論から先に言うと、『納涼縁側パーティー』は期待を上回る盛況でした。正直、出発直前になって、若者はあまりいないかもという情報が回ってきた時は、全員青ざめたものでしたが。確かに当初予想していたサブカル・キッズこそそれ程ではなかったものの、ご近所のご家族、年配の方から子供さんまでが、ヤンカル邸の庭に集まり、バーベキューを焼き、ビールやジュースを飲み、語り、笑い、娯楽グッズの品定めに興じる光景は、まるで町内会の夏祭りや縁日のように見えました。多いときは70人ぐらいがあの場にいたのではないでしょうか。中には仙台から駆けつけてくれたクルーの友人、twitterやDOMMUNEを見て来てくれた情報通(?)のヤングの姿も。しかし時折、数時間前に見た街の惨状が脳裏をよぎると、なんとも言いようのない気持ちになります。


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辺りが暗くなるにつれ、場のボルテージも上昇。オールディーズのリクエストに迷った末かけた、セックス・ピストルズの「カモン・エヴリバディ」で踊り出すおばさんもいたりして。あまりのいい雰囲気についつい映画の上映時間が先延ばしになり、結局予定の1時間遅れ、20時よりスタート。さすがにバンクシーは年配の方々にはあまりピンとこなかったらしく、じっくりスクリーンに見入る若者と、お酒とバーベキューと会話に専念する方々に分かれてましたが、それはそれで面白かったんじゃないかと思います。映画終了後はヤンカルのDJと花火で、この日のパーティーは締め。その後、集まってくれたヤンカルの友人3人を交えた飲み会に突入し、夜はどんどん更けていくのでした。

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明けて7/17、庭の片付けを終え、ヤンカルとお母さんの案内で陸前高田から気仙沼を廻りました。前日の夜、ヤンカルの友人に気仙沼に寄って帰ることを強く勧められたからです。米崎町の葡萄園で美味しいジュースをいただき、その足で向かった気仙沼の街は何もかもが流されてしまった陸前高田とは違い、被災した住宅と無事難を逃れた建物が互い違いに隣接し、そのためか街の整理はまだまだ行き届いてないようです。打ち上げられた魚の腐敗臭と、いたる所に散らばる瓦礫に囲まれながらも、海からそれなりに距離のある路上で、いきなりひっくり返った漁船に出くわすのは、照りつける真夏の太陽と相まって、まるで白昼夢のような光景でした。焼けただれた大型船を眺め、この漁港の街を襲った激しい火災に想いを馳せようとしたのですが、それは全く僕らの乏しい想像力の枠を超えていて、結局、気仙沼リアス・シャーク・ミュージアムの鮫たちはどうしたのだろうかと軽口を叩くことで動搖する気持ちを抑えながら帰路へとついたのでした。


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3月11日の東日本大震災以降、ヴィンセント・ラジオとして何が出来るかといつも考えてきました。しかしいくら考えても、また人に話をきいてもなかなか答えはでません。ならば、とりあえず一度現地に行ってみよう!今回の『納涼縁側パーティー』はそういった素朴な思いからスタートしています。  当初は避難所に物資を届けるという方向を模索したのですが、状況が掴めず、すぐに頓挫。「そういえばヤンカルどうしてるかなあ?あ、アイツの所に届けようよ」と、イージーと言えばかなりイージーなプロセスで行き先が決定しました。
物資の内容に関しても、もし自分が被災したら……それでも漫画読みたいし音楽聴きたい! おしゃれだってしたいと思う! 似たような子たちが被災地にいるハズ!と、これまた勝手な思い込みのまま突っ走っています。とはいえ、この主旨を発表したところ、予想を遥かに上回る「娯楽グッズ」が集まったということは、多くの方が今回の主旨に共感いただけたということではないかとも思っています。 更に、幸運にも、アップリンクさんのご協力で、当日公開の話題作『EXIT THROUGH THE GIFT SHOP』の上映も行うことが出来、何とかひとつのプロジェクトとして形になったのではないでしょうか。

行き当たりばったりではありましたが、今回、陸前高田まで足を運んでみて、実際現地に赴き、誰かに会う、何かを見る、といった直接的なコミュニケーションは、今この状況の中ではやはり重要なんだとあらためて実感しました。そしてその上で、何ができるか、を考えてみようと。

物資や援助でご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!
この続きは7/31の放送で!


尚、このツアーに参加したライターの三田格氏もele-kingにレポートを掲載しています。

チクチクビーEXTRA:ヴィンセント・ラジオ、陸前高田へ行く

わずかに残った物資は、陸前高田市役所が引き続き配布をしてくれています。必要な方は市役所へのお問合わせをお願いいたします。

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